大日本茶道学会

【ミッションステートメント】第28回 「育成」 を追加しました

茶会で「床の間から説明をお願いします」との挨拶を聞くたびに、茶が、人と人を結ぶ
コミュニケーションを助けるものであることが忘れられているのではないかと、感じます。

「床の間から説明をお願いします」という言い方と、「床の間のお軸は季節にピタリですね」
という挨拶と比べてみてください。前者は、顔のない話し手です。後者からは、亭主の気持ちを
くみ取って寄り添っていこうという話し手の姿勢が感じられます。

茶席の道具は、美術館の展示品と違います。茶席の道具に対しては、亭主がなぜその道具を
選んだのかを知りたいという客からの気持ちが寄せられる必要があります。そのことが適切に
表明されることで、亭主と客との距離が縮まっていく。そのことが、戦国時代に茶会を不可欠な
ものとして広めた原点ではないかと考えます。

茶会でなんとか正客にならないように互いに押しのけあっている場面が映画「日日是好日」にも
取りあげられています。「遠慮」という美名に隠れて、いつのまにかコミュニケーションの主体に
なることを放棄してしまっているのではないでしょうか。そのような姿勢では、茶道人とは
いえないのではないでしょうか。

一人で人を育てることは難しいものです。しかし、茶友たち皆で協力し合ってよりよい茶人に
成長する目標として「茶道人を育成します」を掲げているのです。

                  会長 田中 仙堂 (平成31年2月発行 会報「えんじゅ98号」掲載)

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