大日本茶道学会

【茶道コラム】第36回「耳を澄まして感じましょう」を追加しました

本部教場は6つの部屋の襖を取って、大きな広間にしながら、6か所で同時に教習
を行っているのが常です。このコロナの流行で、教場にお運びいただける人数も減った
ことで、やや寂しい感じもありましたが、いつもは気が付かなかったことが気にかかりました。
 それは「音」です。点前が始まると、茶の湯のときの静寂のように、足摺の音が教場全体
に響きます。点前をされる方の呼吸、息遣いもわかるように客方に伝わってきます。
 当たり前のことですが、何か所かで同時に行われていると、点前をされている方も自分
の音に対しての意識に欠けているようでした。
 茶筅湯じをしていても、茶筅の穂先を和らげている音が聞こえます。すると、こんなこと
に気付きました。薄茶と濃茶では、数穂と荒穂、茶筅の穂先の太さが違うのですから、穂
を和らげる音が同じわけはない。細い数穂よりも、荒穂の穂先を和らげる方が自然と音に
重みを感じるのではないでしょうか。

みなさんコロナがあければ茶席に友人をお招きして、もてなしたいと思っていらっしゃる
と思います。そんなとき、今までと同じでよいのでしょうか。
 人と会えない、人に接して直に茶を点ててもらえる喜びをお客様も感じていらっしゃると
すれば、以前よりもいろいろなことに心を配らなくては心が伝わらないのではないでしょうか。
 静けさを保っている今、普段聞こえず、聞こうともしなかった音や、空気感に耳を澄まして
気づくこと、そのことが、もっと豊かなもてなしができる素敵な茶人に近づくことではないで
しょうか。普段忘れていた周りに気を配ってみたらいかがでしょう。

            教場長 田中 仙融 (令和3年2月発行 会報「えんじゅ106号」掲載)

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