大日本茶道学会

【茶道コラム】第33回「合いの手」を追加しました

よく、「東京の人の話し方は、喧嘩をしているみたいですね。」と言われることがあります。
つまりは、話す速度が速くて、語尾が強く感じられ、言葉自体が耳に入ってこないということ
でしょうか。
 そのように言われてみると、方言を使ってやんわりと緩やかに話されると、例え内容は
わからなくても、話を聞いてもらったり受け止められたという気持ちになったりすることが
あるように思えます。

昨今は、家庭の固定電話もなくなり、みな携帯電話を使うことが主流です。携帯電話では、
誰からかかってきたのか、相手がわかっているのですから、用件のみの対応が主流となり、
応答の仕方も変わってしまったように思えます。
 相手がわからないと、誰にかかった電話かもわかりませんので、自然と失礼のないようにと
電話をいただいたことを受け止めようと、やんわりとした口調になると思います。

日常の会話もその延長線にあったのではないでしょうか。「そうね」「いいわね」「ふーん」
でもなんでもよいのですが、相手に合わせて、ちょっと言葉をはさむことで、話した人は
受け止めてもらったような気がして満足できます。質問したことにそのまま答えてもよいの
ですが、ちょっと合いの手を挟んで受け止めてもらってから答えをもらえたら、もっと満足
するのではないでしょうか。
 この感覚は茶席でも必要なことで、主客の応答にも豊かさが出るというものです。

亭主が軸の説明をしてくださったら、「そうですか」「すばらしいですね」「なるほど」などと
ちょっと言葉を挟むだけで、全体の雰囲気が和みます。その言葉を挟んでいる間に自分
でも思いもよらなかった言葉がわいて、会話が弾むこともあるかもしれません。

しかし、それでは茶席で試してみようと思っても、一朝一夕にできるものではありません。
普段の人との会話から心がけてみると、思いのほか、ゆとりのないものになっていることに
気づくかもしれません。
 「合いの手」は、人との関係も少し緩やかにする一つの妙薬になるかもしれませんよ。

            教場長 田中 仙融 (令和2年5月発行 会報「えんじゅ103号」掲載)

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