創立120周年のご挨拶

本年120周年を迎える大日本茶道学会の創立の理念とは、茶道にも学術性と同時にそれを進歩発展させる仕組みをそなえようという発想を核にしたものでありました。
仙樵から直接教えを受けた人々による門下が形成され、それによって有力な茶道流派の一つになったからといっても、創立時の理想を見失わずに、つねに茶道の現在に活力を与える続けることが、これまでも、そしてこれからも大日本茶道学会を、唯一独自の存在として輝かせていく進路であると確信しております。
大日本茶道学会の「学会」とは、学術団体に使われる用語なので、茶道が学術なのかという疑問が呈されることもあります。しかし、学術の本質を「学術性」という言葉で表現すれば、「学術性」とは、その成果を万人が再利用可能な形で提示されているかどうかに関わってきます。創立者・田中仙樵が「秘伝解放」を主張して、点前の伝書を奥義にわたるまで公開していったことは、茶道に学術性を持たせるための方法でした。
そして、学会という組織原理は、その学術をどのように進歩発展させるかという方法で、情報交換によって学問を進歩させる仕組みを茶道にもとり入れようとしたものです。
創立120周年の記念すべき年の年頭にあたり、原点を見失わないことをお約束して挨拶とさせていただきます。

 





平成30年1月1日
不積斎 田中仙堂